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2022.08.30

【Shock人インタビューvol.1】カクシンハン・スタジオ~木村龍之介さん~

11/3(文化の日)にスタートする長期講座のShock人:「カクシンハン・スタジオ」

記念すべきインタビュー第1回目の今回は、Theater Companyカクシンハンの主宰で演出家として活躍されている木村龍之介さんにお話しをうかがいました!

Q.演劇を始めたきっかけ、また、シェイクスピアとの出逢いについて教えてください。

演劇と出会う三年前にさかのぼります。高校三年生の僕は学校に馴染めなくて、好きな詩人の言葉にギターを掻き鳴らして演奏し、バンドを組んで音楽にのめり込んでいました。でも、プロになれる実力なんてなくて、勉強もしているわけじゃないから大学にも行けない。
学校で授業なんて聞いちゃいなくて、でも誰かとつるむわけでもなく、本を読んだり、好きな数学を自分で教科書を読んでどんどん進めて参考書を見つけて解いたり、自由気ままに過ごしていました。

その日は、秋の入り口で半袖の下着のシャツ姿で二階の自室で数学を解いていました。
僕の実家は宝塚市の山の上にあって、夜は窓を開けていれば涼しい風が吹き抜けます。
気分よく放物線を描き、三次方程式の実数解を数えていた時、一階から両親の叫び声が聞こえました。
僕の家だけではありません。近所の家からも「うわ!」という驚きの声が聞こえました。

それは、僕が高校三年生の9月11日の夜。アメリカ同時多発テロ。
ビルディングに飛行機がリアルタイムで突っ込んでいくのがテレビに映っていました。
「どうしてこんなことが起こるんだろう?」
この問いは僕にとって、通常の学校生活の中では決して学べない、でも確かな実感のある問いでした。
この問いに答えるには、学校で学ぶよりも、音楽と本と数学を自分で探求する方が正しいように思いました。
僕の好きなロックバンドの海外のアーティストたちが、このテロについて声明を発表しました。彼らのように自分の答えを見つけ出したい、そう思った僕は、高校卒業してから自宅浪人という名の自由業に専念しました。勉強に明け暮れました。音楽に明け暮れました。そして、幾つかの恋もしました。

そうして二年後、東京大学のキャンパスにぼくはいました。
しかし、僕には飛行機をハイジャックしてビルディングに突っ込むようなことをどうして人間がするのか、まだわかりませんでした。国際政治や現代史を学び、宗教についての知識を増やしたところで、あの時に観たテレビ越しの光景に納得ある解を出すことができなかった。
大学に通い始めて数か月がたった秋の午後。忘れもしない、現代フランス思想史の授業を受けている途中で、僕は無償にその教室を出たくなった。決してその授業が悪かったわけではない。ドゥルーズとガタリについて詳細な説明をしていた。それには僕も幾分かは関心があった。
しかし、教室を出た。
いつの間に駒場図書館の二階へ来ていた。無性に何か小説が読みたくなったのだろうか、文庫のコーナーを凝視した。数々の名著が並んでいたが、全面ガラスの窓から日が薄く差し込んで、一冊の本を照らし出していた。
僕の右手の中指が、夕日に染まったその一冊に吸い寄せられるように無意識に浮遊する。中指はその本の背表紙の上に着地していた。そこからは僕の意思によって中指をすっと引き寄せた。
シェイクスピア…『マクベス』…
僕は西日の射しこむ自習机に座って読み始めた。
魔女がそこにいた。マクベスが血まみれの短剣をもち、王に対して剣を振り上げ、マクベス夫人が手をこすりながら夢遊病にかかり徘徊していた。それは、これまで僕が触れてきたどんなエンターテイメントよりも、スリリングで、それでいて確かなリアリティーがあった。

マクベスの最後の畳みかけるようなドラマティックな展開。バーナムの森がダンシネーンの丘に向かってきた時、僕はあの問いが解けたような気がした。いや、気がしたのではない。確信した。
あの高校三年生の秋、ハイジャックされた飛行機がワールドセンタービルに突っ込んでいった時に抱いた「どうしてこんなことが起こるのだろう?」という問い。
その答えを、『マクベス』が、僕の〈心〉と〈身体〉に教えてくれたのだ。
それは数学のように美しく、ロックバンドのようにエキサイティングな回答だった。

その刹那、僕はシェイクスピアに撃たれ、僕の人生もまた、演劇に撃たれたのです。

Q.演劇の経験が日常生活と繋がった経験について教えてください。

些細な出来事から大きな事件に至るまで、演劇という「もうひとつの現実」で体験したことは、もうすでに「わたしの人生」で体験したことになる。演劇の中で事前に経験していることのおかげで、日常生活ではずいぶんと得をしているかもしれない。

例えば、シェイクスピアの作品は、一見すると小さな役でも、その役がしゃべった瞬間に主役になる。世界の中心になる。
そんな作品と向き合ってきたおかげで、人前でしゃべれるようになり、それだけでも随分と人生が楽しくなりました。

人生の舵を自分で持てるようになる。自分の人生、自分のドラマのはじまり!

Q.演じることの魅力はなんですか?

生きることの意味を問い直すことが、愉快でたまらない。
「今すべてが一変してはならぬという法は、ないではないか」とはドストエフスキーの言葉だが、いつだって人は変われる。本当に君が望めば別人にさえなれる。
その可能性に身をゆだねる面白さが、演じることの大きな魅力です。

Q.舞台に出るとき、緊張はしますか?

(ドキドキ、バクバク)
役者時代を思い出して、せーのっ!「もちろんでーす!」

Q.演劇のテクニックを学ぶことで、人前で自信をもって話せるようになりますか?

絶対になります。呼吸、姿勢、立ち居振る舞い、挑み方、人とのコミュニケーション。
呼吸って大事です。
呼吸はあなたのリズムを作ること。すると自身が湧き出てきます。
JUKUBOXへ、ぜひ!

 

Q.この記事を読んでくれている方へ、メッセージをお願いします。

シェイクスピアはやっぱり面白い。
それはなぜか?
シェイクスピアはドラマティックで、一見自分とは程遠い世界に思うかもしれません。
でも、実は、リアルな人間模様を徹底的に描いています。
だから、シェイクスピアは人間理解に役立つのです。

人間として生まれたからには、人間をとことん遊びつくして、知り尽くして、味わい尽くしてみたいですよね。
それはコロナの時代の私たちにとってなによりのご褒美です。

一緒にシェイクスピアを通じて味わい尽くしましょう!
私自身、皆さんとどんなシェイクスピアの旅がでるか楽しみです。
さあ、僕ら一人ひとりの「新たなはじまり」です。

木村さん担当講座の詳細はコチラ